国立大学を卒業し、作業療法士として病院に就職。その後三度の転職を行い、現在は総合病院にて作業療法士として勤務しつつ、ブログや弾き語り配信を通して副業も行っています。
質問をいただきました。
僕には一つのコンプレックスがあるのですが、実は会話が苦手なのです。
小さい頃から無口な性格で、あまり人と話すことが好きではなく、人と話すとどうしても緊張してしまって何を話せばいいのか分からなくなります。
こんな僕ですが、kazuさんと同じように作業療法士になれるのでしょうか?何かアドバイスがあれば聞きたいです。
コミュニケーションは誰にだって悩みの種ですよね。
僕も会話が上手な人を見て何度も羨ましく重います。
しかし僕は口下手だからこそのメリットがあると考えています。
今回は
話下手だと思う人のコミュニケーションに対する考え方
について僕なりに解説します。
会話量が多い=コミュニケーションが上手い→とは限らない

結論から言うと
セラピストは話下手で無口でも全然大丈夫
だと思っています。
なぜなら
現に作業療法士として働いている僕が口下手だからです。
これは根拠になりませんかね?笑
でもほんっとうに大丈夫だと思っています。
僕は今作業療法士として働いていますが、昔から僕は話下手です。
僕も同じように知らない人との会話なんて何を話せばいいのかわかりません。
だからといってコミュニケーションが苦手だと感じていません。
いわゆるペラペラと話せるような会話量が多い人。
つまりそれがコミュニケーションが上手い
とは限らないと思っています。
むしろ口下手の方が良い点があります。
質問者様は
会話量が少ない=コミュニケーション力が低い
と感じているのかもしれません。
しかしコニュニケーションが上手い人はペラペラ話すような人ではなく
ある能力に置いて長けている人
だと感じています。
以下に順次解説してみますね。
大事なのは話す事ではなく”聞く事”

僕はコミュニケーションにおいて特に大事だと思っていることがあります。
それは話すことではありません。
聞くことです。
大事なことなのでもう一回いいます。
相手の話を聞くことがコミュニケーションの中で一番大事だと思っています。
コミュニケーションが上手な人というのは
話の聞き方が上手い人
つまり
相手の考えを上手く引き出して、それを共感できる人
だと感じています。
話をしっかり聞いて、相手の思いを汲み取る。そしてその思いに共感すること。
これが良好なコミュニケーションを保つ上で大事な考え方であると思います。
聞き上手=コミュニケーションが上手い→その理由

もう一度言いますが
コミュニケーションで特に大事なのは、会話量を多くすることではなく
その人の考えを上手く引き出してあげる事です。
皆さまも誰かに話しかけようと思う時
自分の考えや思いを相手に伝えたいと思うはず。
その話しかけている相手が
自分の話に頷き、自分の思いに共感しながら聞いてくれています。
そんな姿を見れば、相手は
”自分のことを理解してくれている”
と感じるのではないでしょうか?
この”自分のことを理解してくれている”という感覚。
それがそのまま相手への信頼につながります。
あぁ、この人は自分の話をよく聞いてくれる人だ。
この人は自分のことをよくわかってくれる人だ。
そう思ってもらえるようになれば、その人はきっと大きな信頼を寄せているでしょう。
そして、またこの人に話しかけたいと思うはず。
会話で生まれるこの信頼こそがコミュニケーションが上手いと思われる正体だと思うのです。
反対に
- 相手の要件をすぐ聞き出して解決策を差し出す。
- 上から目線でアドバイスするように話してしまう。
- 自分本意に話しまくる。
- ただ聞き流す。
このような態度で会話をしている相手には、また話をしたいと思うでしょうか?
きっとこの人ではなく、他の人に話しかけたいと思うはずです。
理由は簡単で、相手の思いを汲み取ることができておらず、理解しようともしていないからです。
自分のことを理解しようともしない人にわざわざ話しかけにはいかないですよね。
今自分に会話をしている相手は
- 自分なりにこう考えているけど、あなたも同じ意見だろうか?
- ちょっとわからないことがあるから教えて欲しい。
- あなたととにかく話したいから会話がしたい。
- ただ自分の話を聴いて欲しい。
- 自分の思いに共感して欲しい。 etc…
と様々な思いを持っているのかもしれません。
さらに相手の話し方や普段の雑談、表情から汲み取って
今相手はどういう思いで話しているのかを想像してみましょう。
答えはいつも自分ではなく相手の中にある

話したいと思う相手にはきっと何かしらの考えがあって話すのだと思います。
しかしそれが頭の中で上手く整理できていないことがあります。
そこで上手く聞くことが必要なのです。
相手の会話を聞くことで、その相手は言葉のアウトプットを通して必要な情報を整理することができます。
嬉しさ、悲しさ、怒りといった感情的な思いも話すことによって整理されます。
上手に聞くことによって、相手の頭の中をときほぐすことができるのですね。
僕は会話をするとき、いつも「答えは相手の中にある。」と思って会話しています。
相手が自分なりの答えを掴むことができたら、コミュニケーションは成立したと考えています。
僕の実際の例を話してみます。
ある日担当している患者様Aさんが突然僕のリハビリテーションに拒否的になってしまいました。
その時の会話の様子です。
😠「もうリハビリはしたくない。」
kazu「Aさん、何かお気に召されないことがありましたか?」
😠「…リハビリはしんどいし、もうやりたくない。」
kazu「リハビリが苦痛であることが不快なんですね。」
😠「…」
kazu「だから僕のリハビリがやりたくないと思ったんですね。」
😠「…」
kazu「ただでさえ入院生活は環境が変わってストレスになるのに、リハビリまでしんどかったらなおさらきついですよね。」
😠「…」
kazu「わかりました。不快な思いをさせてしまって申し訳ありません。ただまた様子を伺いに来てもいいですか?」
翌日、Aさんのところにリハビリに伺うと、不機嫌な様子はなく、いつも通りリハビリを受けてくれました。
Aさんは最後まで僕のリハビリを受けてくださり、無事に自宅に帰って生活ができるまで回復して退院しました。
あの時、僕のリハビリがずっと拒否されていたままでは、また違った結果になっていたかもしれません。
ちなみに僕は上手く話したのではなく、Aさんの思いに共感しただけです。
ただAさんは「今のしんどい状況をわかってほしい。」のだと思いました。
相手が不快だと思っていたかもしれないことを引き出し、その思いが間違いではないと共感して謝罪をしました。
こうして相手の考えを引き出し、共感してそれを尊重したこと。
それが信頼を取り戻した結果になったのかもしれません。
つまり相手の中にある考えを上手く引き出してあげることが重要だったんですね。
まとめ:無口は実は長所だと思う理由について
以上を話下手でも大丈夫である理由として
- 会話量が多い=コミュニケーションが上手い→ではない
- 大事なのは話す事ではなく聞く事
- 聞き上手が信頼を得る理由
- 答えはいつも自分ではなく相手の中にある
について解説しました。
セラピストが会話をするのは患者様だけではありません。
質問者様が作業療法士であるならば
同じ職種である理学療法士や言語聴覚士
看護師や主治医、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー etc…
様々な他職種の人と会話をすると思います。
またクライエントも様々です。
雇用主・従業員という関係上であれば、上司や社長も自分にとってのクライエントにもなり得ます。
そして患者様だけじゃなく、そのご家族だってリハビリテーションのクライエントにもなります。
医療職は多くの立場の人々とのコミュニケーションを必要とします。
しかし色んな人と話す必要があるとはいえ、意識することはシンプルです。
コミュニケーションで大事なのはとにかく聞くことです。
そして相手の思いを汲み取ることです。
どんな立場の人でも、相手の頭の中を想像しながら、上手に相手の思いを引き出してみてください。
そうなればきっと色んな人から信頼されるセラピストになっていると思います。