様々なメンタル疾患を持っている方々と関わってきましたが
特に病気との向き合い方がわからないという方は多く
- メンタル疾患がなかなか治らない
- 療養中なのに病状の悪化を繰り返す
- 体調が良くなったかと思えばまた悪くなる
といったお悩みをよく聞きます。
実際、メンタル疾患を持っている方々の特性は人それぞれであり
- 発症した経緯
- 以前の生活歴
- 家族構成
- 個人の価値観
メンタル疾患との向き合い方も人によって異なります。
しかしメンタル疾患という病気を治していく上で
自分の経験上、これだけはやめておいた方がいい
ということがあります。
今回は僕自身の経験を踏まえて
メンタル疾患の治療・療養の失敗例
を解説していきます。
ストレス解消を飲酒に頼ること

まず最初に力強く言っておきますが
メンタル疾患の療養中に飲酒は厳禁。
なぜここまで言うのかと言うと、僕が既に経験しているからです。
メンタル疾患の療養中に飲酒すると
- 薬の効果を打ち消し、反対に副作用が増強して苦しむ
- 入眠の質が落ちて、生活リズムが崩れる
- 二日酔いで抑うつを増強させてしまう
といった状況に陥ってしまいます。
療養中の飲酒にメリットはなく、むしろデメリットだらけです。
きっと飲酒をしてしまう心理の奥底には
日々のストレスに対処しきれず飲酒で解消してしまう
のがほとんどであるはず。
なのでこうした日々ストレスに対しては
飲酒以外の健康的な方法で対処していきましょう。
例えば
- 肉や魚等の美味しいタンパク質を食べる
- 緑がある公園へ軽く散歩する
- 身近な人と楽しく会話して関わる
- 入浴やストレッチでリラックスする
といった方法が良いですね。
また飲酒したくなるトリガーを知っておくことも大事。
飲酒したくなるのは主に
- 空腹を感じているとき
- 体が疲れ切っているとき
- 孤独や怒りを感じているとき
こういったタイミングであると思います。
こうした飲みたくなるサインを知っておいて
飲酒に頼らずに済むように対処方法を作っておくこと。
先ほどの例に挙げたように
- 空腹である→タンパク質を摂取
- 疲れている→入浴やストレッチで対処
- 孤独や怒り→身近な人と楽しく会話する
こうして
自分のストレスに自分で対処ができると自覚すること
そんな自信を持つことが大事です。
焦って結果を出そうとすること

次にメンタル疾患を再発しやすい考え方として
焦って結果を出そうとすること
これが挙げられます。
僕自身もこれで過去に痛い目を見ています。
当時は療養中であるにもかかわらず就職活動をしていました。
当時は適応障害で自宅療養していたものの
周りが働いていて、自分だけ何もせず働いていない状況に
どうしても罪悪感が拭いきれませんでした。
そうして誰とも相談せず病気を隠しながら
ある職場にパートとして働かせてもらったのですが
1ヶ月後に仕事上のストレスに衝突すると病気が悪化。
翌日出勤できなくなるくらいに悪化して、そのまま退職しました。
これは早く職場復帰することに焦って
自分の体調を無視したこと
が一番の原因だったかなと思います。
他にも
- 早く治そうと無理して外出を繰り返してたこと
- 薬を飲もうとせず自分の力だけで治そうとしたこと
- 病気の特徴を知ろうとせずに仕事をしようとしたこと
これらは全て焦って結果を出そうとした要因だと感じています。
こうならないためには
たった今の自分の体調に向き合うことが大事。
メンタル疾患はどうしても調子の波があって
今日はちょっと体調が良くなったなと感じても
- その後にすぐ体調を崩す可能性はないか
- 今の状態でも仕事上のストレスに対処できるのか
- 再就職するタイミングは今からで大丈夫なのか
これを考えるべきだったと感じています。
でもこれらの判断は自分一人だけでは難しいはず。
なので再就職は家族や友人の他
クリニックの主治医とも相談することをおすすめします。
そして
病気への対処は自分一人だけで抱え込まないこと。
未来を見ようとしすぎないこと。
こうして援助を受けながら、身近な人を巻き込みつつ
今は闘病中は自分の病気を治すことだけに集中する。
これを意識していくべきだと考えます。
他人の目を気にしすぎること

最後に
しんどいことを我慢して他人に合わせること
これが最大の失敗だったと感じています。
僕は適応障害を発症した、かつての職場で
- 上司の期待に応えないといけない
- 他の人も頑張っているから手を抜けない
- ちゃんと人の役に立たないといけない
そう思ってひたすら自分に鞭を打っていました。
つまり
他人の目を気にして、嫌われることを恐れていました。
その考え方のクセを療養中でも引きずってしまい
- 友人に会っても元気そうな素振りをしたり
- 人の誘いを断れず、飲み会に参加したり
- 体調が悪いのに無理をして遊ぼうとしたり
これがなかなか抜け出せなくて治療も難渋しました。
先ほども言った通りメンタル疾患の療養中は
自分の体調に向き合うことが大事。
精神療法の一つとして
森田療法
という治療法があります。
森田療法はわが国の精神科医、森田正馬によって創始された神経症に対する独自の精神療法です。森田療法は患者様が症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助します。
出典:森田療法とは|東京慈恵医科大学 森田療法センター
森田療法による治療の第一段階として
心身を休めながら自分と向き合う臥褥期(ひたすら休む時期)
があります。
つまり休むことを通して
自分の中にある不安や葛藤をあるがままに受け入れること
そこから病気から立ち直る力を取り戻していきます。
なので休むことを通して自分の体調と向き合う時間はとても大事。
療養中の苦しい時期は
他の目は気にせず、自分の体を休むことに集中すること。
療養中に相手が自分をどう思うのか
そういったことは考えなくていい時期です。
まとめ

これらの失敗談の根本的な要因は
自分の苦しみと真正面で向き合ってこなかったこと
にあると思います。
これまで解説してきた
- ストレスへの対処を飲酒に頼る
- 焦って結果を出そうとする
- 他人の目を気にしすぎる
これらは全て自分が苦しいという本心を無視した行動でした。
何度も言っていますが、大事なのは
自分の心に正直になって、ちゃんと苦しみと向き合うこと。
例えば
- 休みたいと思っているなら無理せず休む
- やりたくないと思っているならやめる
- しんどいと思っているなら体を労わる
こうして
自分の本当の気持ちに気付けることがとても大事です。
ベッドに横になって目を閉じているとき
自分の本心と静かに対話してみてください。
たくさんの時間をかけて休みながら
自分は本当はどうしたいのか?
それが少しずつ見えてきた時が治療の第一歩です。

無理しないでくださいね。