今回は
僕が適応障害で苦しんでいた時に1番助けられた書籍
について解説します。
僕はかつて適応障害に苦しんでいました。
(適応障害の経緯は以下の記事で解説しています)

適応障害真っ只中の時は
- 自分だけが取り残されている社会的な苦しみ
- 何もせず過ごしている自分への罪悪感
今でも思い出したくないくらいに苦しい思いをしていました。
僕は適応障害で苦しんでいた時、僕はある漫画に出会いました。
漫画家の乃樹愛さんの漫画です。
この漫画には本当に助けられました。
そして適応障害で苦しんでいる人にぜひ読んで欲しい漫画です。
今日は乃樹愛さんの書籍
なんで私が適応障害!?暗闇の中で光を見つけた私。
について紹介しようと思います。
大好きな漫画をまとめてみました。
ぜひご覧になってください。
乃樹愛さんの紹介

僕は適応障害で休職中だった時
本屋でこの病気に関する本を探していました。
一般的なメンタルケアに関する本はいくつかあるのですが
適応障害そのものについて書かれた本は全然なかったのです。
僕自身も実際に診断が下るまでは
適応障害という名前すら知らなかったですから
それくらい適応障害という病気は
あまり一般的ではなかったように思います。
そんな中で僕はこの本を見つけました。

ここで乃樹愛さんを紹介させていただきます。
作者は漫画家の乃樹愛さん。
コミックエッセイ作家としてデビューしており
かつて大手塾業界企業に就職するも
わずか2ヶ月で適応障害を発症し退職。
退職後は漫画で商業活動を行っており、ご活躍されています。
ある本屋から偶然にもこの漫画を見つけて手に取ると
中身の漫画はタッチも柔らかく、読みやすい内容となっていました。
しかし読み進めてみると
その内容は病気の生々しい現実が描かれていました。
乃樹愛さんが
実際に適応障害で苦しんだ経緯が書かれていたのです。
闘病中のリアルな現実


ここからは漫画の内容を一部抜粋して解説していきます。
乃樹愛さんは小さい頃から努力家で
真面目に勉強もスポーツもしていました。
小学生では男子に混じりながら
野球のプレーヤーとしても活躍
中学生では生徒会長も務めました。
高校生では大学受験のため、野球をやめて必死に勉強。
その時に励まされた高校の先生に強く影響を受け
教育の道へ進むことを選びました。
そして塾講師のバイトも始めて教室長を目指し
大手教育関係の企業に就職。
子供たちに教育を通して
夢を与える存在になりたいと意気込む乃樹愛さん。
これからもっと楽しい人生が送れると希望を抱いていました。
しかし現実は甘くありませんでした。
入社式が終わると
その後に待っていたのは過酷な研修の日々でした。
朝早く起きて1日中研修で勉強する毎日。
そして会社の「規則」という理不尽な決まりに従う日々。
研修ばかりの毎日で帰る時間はいつも遅く
朝起きればまた研修。
辛く苦しい毎日。
けど仕事をやめたら生きていけない…
みんなから置いていかれたくない…
期待に満ちていた社会人生活も
現実は我慢ばかりの日常。
そんな毎日で次第に電車に乗ると過呼吸になり
安心して乗れなくなりました。
家族に相談しても
「大手に就職したんだから、がんばりなさい。」
と一蹴されました。
そして追い討ちをかけるように
急に遠くの現場研修に配属。
急遽引っ越しをしなければならない状況になりました。
目まぐるしく変わる環境。慣れない環境。
「私は何のために働いているんだろう…」
彼女の心は次第に蝕まれていきました。
「私…もう…生きているのがつらい…」
心療内科の主治医に対して精一杯絞り出した言葉でした。
そして主治医からは適応障害と診断されました。
このように真面目に勉強して、真面目に仕事をして
ただ真面目に頑張っていた人がなってしまう心の病気。
それが適応障害という病気です。
心も体も疲れ切っても
そう簡単に助けを求めることなんてできない。
それは当時の僕の心情と全く一緒でした。
もう頑張らなくていい


「何もわかりません…もう…死にたい…」
乃樹愛さんはもう考える力も
生きたいと思える力も残されていませんでした。
そこで主治医から
心理士の先生との面談を勧められました。
そこで初めて会った方は心理士の鈴木由香さん。
乃樹愛さんは心理士の先生との出会いで
大きく生き方を変えていきました。
先生は乃樹愛さんの言葉を
ただ静かに頷きながら聞いてくれました。
そして言われた言葉は
「よくここまでがんばってきましたね。」
「もう頑張らなくていいんですよ。」
この一言に乃樹愛さんは
「もう頑張らなくていいって言ってもらえるだけで、こんなに楽になれるんだ。」
「この病気を治したい。」
と思うようになります。
時には恋人であるなっちゃんに助けられながらも
彼女は次第に生きる活力を取り戻すようになります。
恋人のなっちゃんと、心理士の先生はいつだって味方。
しかし乃樹愛さんにまたも試練が訪れます。
理解されない苦しみ


そして現場研修先の部長とマネージャーと面談。
「休職は認めるけど、なんでなったの?」
「自分を特別だと思っていない?」
「みんなは同じように辛くても頑張ってると思うよ。」
面談は身勝手で言われたい放題でした。
そして休職し、母親にも報告。
突然母からの電話では
「どうして頑張れないの?他の人は頑張ってるのに…?」
心ない言葉に容赦なく
乃樹愛さんの心はズタズタにされてしまいました。
次第に生きる気力さえ失っていく日々。
自分は苦しいのに、他の人は理解してくれない。
周りは頑張っているのに自分は頑張れていない。
会社を休んだりすることは
そんなにいけないことなのだろうか。
それでも一生懸命仕事をしてきたのに…
何のために生きているの…?
誰のために生きているの…?
私さえいなくなれば、みんな笑って過ごせるのに。
「私が生きてて…ごめんなさい…」
適応障害の特に苦しいところは
このように
他人から理解されにくい点にあるのです。
精神の病気は見た目だけではわかりません。
そして真面目で頑張っている人がなってしまう病気でもあります。
そういった人が突然病気になってしまうものですから
人によっては
- 怠けている
- やる気が足りない
- 努力が足りない
- そんなもの甘え
といったイメージを持たれてしまう場合も
少なくないということです。
本人は苦しいのに、それを理解されず
まるで腫れ物のように扱われる。
それが本当に苦しいのです。
しかしそんな乃樹愛さんに
恋人のなっちゃんが訪れます。
真っ暗な部屋に一人横たわる乃樹愛さんを見て
「乃樹愛がそう思うのは、全部“病気のせい”なんだって。
大丈夫。生きているだけでいいんだから。」
心身がボロボロな乃樹愛さんを優しく支えてくれました。
心理士の先生も
「乃樹愛さんがつらい時は彼氏さんを支える。
この先彼氏さんがつらくなった時は
今度は乃樹愛さんが支えてあげればいいんですよ。」
心ない言葉にズタズタにされてしまった心
それでも
「この人たちのためにも、病気を直したい…!」
乃樹愛さんはもう一度立ち上がりました。
次第に自分を取り戻していく


乃樹愛さんは生活習慣からもう一度見直してみました。
まずは
- 毎日しっかりご飯を食べて
- 適度に運動して
- たっぷり睡眠をとる
そして筋トレも始めて、とにかく汗をかいて体を疲れさせました。
そうしていくうちに寝付きが良くなり
朝にはスッキリ起きられるように。
乃樹愛さんは次第に自分の体調を整えていきました。
しかしまだもう一つの問題がありました。
それは会社。
休職期間はあと4ヶ月。
会社を辞めたらせっかくのチャンスがなくなる。
けどこれでまた会社に戻ったら
また前と同じことになるんじゃないのか…?
会社に戻るか、それとも会社を辞めるか。
「ばかだなぁ。仕事なんて腐るほどあるから大丈夫だよ。」
なっちゃんからの言葉でした。
そう大丈夫。
「自分の人生は自分で決めるんだ…!」
生きていくための道はひとつじゃない。
そう決めた乃樹愛さんは退職を選びました。
私が最大の理解者になればいい


しかし乃樹愛さんにまたもや試練が訪れます。
退職後、実家に帰って数週間後
乃樹愛さんは好きな漫画を描いて楽しんでいました。
好きなことをやって、それが楽しいって思えるって幸せ。
でもそんな楽しい日々も束の間でした。
実家の母からは
「いつまでそうしているつもり?」
「いつまでもそうしているわけにはいかないでしょ!?」
「一体いつになったら治るのよ!!」
容赦ない言葉を浴びせられました。
母から趣味を責められ、働くように言われた乃樹愛さん。
その後も就職活動で、転職エージェントにも相談します。
しかし
「乃樹愛さんの経歴じゃ無理ですよね。」
「仕事第一に考えないとまた前職と同じになりますよ。」
「あと適応障害ってポンポンなるものでしょ?」
と散々なことを言われてしまい、転職も断念。
またもや心ない言葉が襲いかかりました。
世間の適応障害に対するイメージはこんなもんなのか。
「本当に悔しい…」
最後まで自分の病気を理解されないことに
涙が出るほど悔しい思いをしました。
けどなっちゃんは
「そんなヤツのために泣くな。
そんなヤツが言ったことを気にして泣くなら
俺と一緒に楽しい時間を過ごそうぜ。」
乃樹愛さんはなっちゃんの言葉にもう一度救われました。
「確かに…同じ時間なら、笑ってた方が楽しいもんね…」
「大切なことに気づかせてくれてありがとう…」
こうして長くて短い闘病生活、身近な人に支えられながら
乃樹愛さんはついに適応障害を克服。
こういった経験を通して、乃樹愛さんは得意の漫画で
自分が適応障害になった話をSNSに載せていきました。
するとSNSからは
同じように適応障害に悩む人からのメッセージが届きました。
今度は乃樹愛さんが適応障害に悩む人を支え続けたのです。
ある日、転機が訪れました。
適応障害になった話の漫画を通して
出版社からの書籍化の依頼が来ました。
こうして
「なんで私が適応障害!?暗闇の中で光を見つけた私。」
が生まれることになります。
まとめ


いかがでしょうか?
適応障害という病気について
大切なことがたくさん書かれていた漫画だったと思います。
この漫画の良いところは
本当に読みやすいところ。
漫画のタッチが柔らかくて難しい表現もなく
それで
適応障害の苦しみを本当にうまく表現してくれています。
周りに自分の病気を理解されない苦しみ
そして病気に対する苦しみ・焦り。
当時苦しんでいた自分に、本当に共感できるものがありました。
さらに
- メンタルクリニック心理士からのアドバイス
- 乃樹愛さんの病気を克服する為のアドバイス
これらも具体的に説明されています。
内容は医療従事者の僕から見ても、非常に参考になります。
夢を追いかける日々を楽しんで生きていればそれでいい。
この漫画の特に印象的な言葉です。
そして僕はこの本を読み終わった時、涙が出ました。
自分だけがこの苦しい思いをしている訳では
なかったことに気付けたのです。
そして今を生きているだけで、それでいいという安心感。
僕は今を生きていることを
肯定されたような気持ちになりました。
最後に乃樹愛さんからの大好きなメッセージ
生きていればなんとかなる
僕はこの言葉に何度生きる勇気をもらったことか。
いま自分が適応障害で苦しんでいる方
身近な人が適応障害になって悩んでいる方。
まずはこの漫画を読んでみてください。
きっと救われる思いがあるはずです。



乃樹愛さん本当にありがとうございました。