今回は
- 生活期での作業療法で経験したこと
についてお話します。
生活期リハビリテーションとは
病気の状態が安定して退院し、既に在宅生活ができている時期に行うリハビリテーションのことです。
(維持期、慢性期ということもあります)
- 生活期のリハビリテーションがわからない
- 生活期のリハビリに興味がある
- 生活期にどんなことをしているのか気になる
といった方はぜひ参考にしてください。
維持期リハビリで特に感じたこと

僕は生活期では
- 通所リハビリテーション
- 外来リハビリテーション
- 訪問リハビリテーション
も経験しました。
それぞれを説明すると
- 通所リハビリテーションとは、医療機関や介護老人保健施設で行っている通いでリハビリを受けられる介護保険サービスのこと。
- 外来リハビリテーションとは、在宅生活を送りながらも、医療機関へ通院可能な方に対して提供するリハビリテーションのこと。
- 訪問リハビリテーションとは、自宅にセラピストが直接訪問し、リハビリテーションを提供すること。
過去に通所リハビリテーションで勤務していた時代がありましたが
ここで特に印象に残ったのは
病院から自宅退院しても生活に問題を抱えたままの人が本当に多い。
ということです。
具体例でいうと
- 脳卒中で片麻痺の後遺症が残り、何とか自宅退院を果たしたものの、外出する機会が減って、引きこもりのようになってしまった方
- 認知症で一人暮らしの為、自分で体の管理ができず、血糖値やコレステロール値の悪化で再入院を繰り返してしまう方
- 慢性的な肩関節疼痛により、趣味の書道ができなくなって、日常の楽しみがテレビを見ることだけになってしまった方
などなど…
急性期や回復期で勤務していた時は、患者様の自宅退院を目標に介入していました。
しかし今改めて思えば
自宅退院とはその人らしい生活において必要条件の一部であって
それだけでは健康的な生活には不十分
であることを痛感しました。
クライエントがどのような活動ができて、どのように過ごすことができれば
心身共に健康で自分らしいと思えるような生活なのか
作業療法士は、特に考えるべきだと思いました。
生活期はその人らしく生きる為のサポート

生活期での作業療法士の役割は
退院後生活における、その人らしい生活の支援
と考えています。
通所リハビリテーションで働いていた時は
ストレッチや運動といった訓練だけでなく
- 創作活動を通してグループ活動を行い、他者交流の機会を促したり
- 自宅生活では行えなかった利用者の趣味活動を支援したり
していました。
他にも
- 自宅での生活内容や服薬管理について訪問看護師と連携を取ったり
- 必要であれば利用者の住宅内容の調査を行ったり
利用者の介護認定があれば
- 今後どのような福祉用具を使用していくのか
- どのようなサービスを利用していく必要があるのか
上記をケアマネージャーと連絡を取り合ったりなどを行いました。
急性期・回復期の頃とは違い
生活期での作業療法では
利用者の身体のことだけでなく、様々な生活要素に触れることができます。
訪問リハビリでの作業療法で経験したこと

一時期ではありますが、訪問リハビリでの作業療法も経験しました。
実際に利用者の自宅に上がって、その自宅内でリハビリテーションを提供しました。
特に訪問リハビリに関していえば
- 利用者の自宅から考えられる怪我のリスクを評価したり
- 安全な自宅生活に必要な動作獲得を行ったり
- 安全に趣味(料理など)を行う為に福祉用具の提案をしたり
- 部屋の飾りからその利用者の価値観を共有できたり
- 時には利用者が自宅で飼っているペットに飛びつかれて、全身毛だらけになったり…笑
利用者を取り巻く様々な生活場面を見ることができて
それが面白くもあり、同時に奥深さも感じました。
(これが病院勤務にはない面白さでもあります)
ただ訪問リハビリに関していえば
基本的に主治医は不在であり、看護師も数人しかいない状況が多いです。
なので痰の吸引や怪我の処置等の看護処置も
その場で必要であれば作業療法士が行ったりすることもありました。
優先されるなら、飲み込み・発声訓練などのリハビリを行うこともありました。
つまり
臨床上の判断は基本的に、その場にいる自分一人で判断して行動する必要があるのです。
その分、仕事上の責任が多いように感じました。
(各スタッフが常に携帯電話を常備しているため、言語上での相談は可能でした)
まとめ:生活期リハビリこそ作業療法士!
僕が特に感じるのは
生活期のリハビリでは、やはり作業療法士の専門性が特に生きる部門だと感じています。
- 疾患の特性に合わせた在宅生活での日常生活動作支援に対する知識
- 必要な福祉用具・介護サービスを考えられる能力
- どんな活動をすることで、その人らしい生活を送れるのかを考えられる専門性
これらは全て作業療法士の得意分野です。
そして上記は生活期のリハビリでは特に求められるスキルです。
もちろん他職種からも助言を求められます。
以上の点から
在宅介護に関してはますます作業療法のニーズは高まっていくと思います。
今後も生活期で活躍する作業療法士が増えていってほしいですね。