お悩み相談

【相談】家族が脳卒中で入院してしまった。どうすればいい?

今回は

  • 作業療法士から、ご家族様が脳卒中で入院した時のアドバイス

について解説させていただきます。

 

質問をいただきました。

こんにちは。kazuさんが作業療法士ということで相談させていただきました。
実はつい1週間前に私の母が脳梗塞で入院しました。
医者からは今後介護が必要になる可能性が高いと言われて動揺しています。
何より元気だった母が急に病気になり、今後介護が必要になってくる状態になってしまったことにショックを隠しきれません。
私は今後どのようにしていけばよろしいでしょうか?
よろしくお願いします。

ご家族様の急な入院はどうしても動揺してしまうものだと思います。

あまりにも急な出来事なのでご自身もショックですよね。

そして今後の生活に不安を感じていると想像します。

 

僕は数々の脳卒中患者様に対してリハビリテーションと退院支援を行いました。

いち作業療法士として、今日は解説させていただきます。

脳卒中の生活障害を理解する

まずは脳卒中という病気を理解してみましょう。

脳卒中は脳血管疾患と同義で大まかに脳梗塞脳出血に分かれます。

細かく言うと、それぞれに種類があって

  • 脳梗塞はラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症
  • 脳出血は脳内出血、くも膜下出血

などがあります。

どちらも脳の細胞が壊れてしまい、本来ある脳の機能が失われてしまいます。

 

脳の機能にはざっくりいうと

  • 息をしたり目を覚ましたり、食べたりといった生命維持活動を保持
  • 筋肉の動きを調整したり、体の運動を制御したりする
  • 情報を考えたり記憶したりする

といった働きがあります。

 

また脳には高次脳機能という力があり

この力があることで僕たちは計算をしたり、文字を読んだり、話を理解したりすることができるのです。

 

脳卒中になると、こういった脳の機能が障害されてしまいます。

代表的な障害は

  • 左右の片半身運動麻痺
  • 構音障害、嚥下障害(話したり飲み込んだりが難しくなる障害)
  • 高次脳機能障害

があります。

 

こういった障害は日常生活上にも様々な障害をもたらします。例えば

  • 半身不随で自分で歩くことができず、身の回りのことができない。
  • 他者とうまく会話ができず他者とトラブルになってしまう。
  • 自分で買い物に行ったり、仕事ができなくなったりしてしまう。

といった生活上の障害が考えられます。

 

しかしこういった日常生活上の問題に対処するための様々なサービスがあります。

まずは脳卒中の日常生活上の障害を理解した上で、今後どのようなサービスを利用するべきか考えていきましょう。

脳卒中は長期間でのリハビリテーションが可能

脳卒中を呈した患者様が回復期リハビリ病棟のある病院に入院すると、最大180日の入院が可能です。

その間に

  • 定期的な医療・介護サービスを受けられる
  • 365日のリハビリテーションを通した身体機能の回復
  • 公的な介護サービスの整備、住宅環境の整備

といったサービスを受けられます。

つまり長いスパンで今後の生活を考えることが出来ます。

 

リハビリテーションは主に

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士

の3職種が本人のリハビリテーションを定期的に行います。

リハビリテーションでは、病気によって日常生活上できなくなったことを再び本人が行えるようにサポートしていきます。

本人の身体機能の回復から、負荷の少ない介助方法の提案、生活福祉用具の提案…

本人やご家族様の生活上の不安をできるだけ解消できるように進めていきます。

ぜひ定期的にコミュニケーションをとってみてください。

 

また今後の生活を考えるのは医療従事者を含め、社会福祉士などが協力してくれます。

特に社会福祉士は公的な介護サービスの提案や、退院先の調整、介護サービスを受けられる為の手続きにも協力してくれます。

ご本人が自分らしい生活を送る上でのこの上ない味方となってくれるでしょう。

介護サービスの利用を検討してみる

  • 自分は遠方に住んでいて本人の定期的なサポートができない。
  • 家に帰ってきて欲しいけど、家でまた怪我をしないか怖い。
  • もうこれ以上怪我をしてほしくない、再入院して欲しくない。

といった悩みを抱えているのであれば、介護サービスを利用することをお勧めします。

介護サービスの利用によって

  • ケアマネージャーが本人の生活を考えてくれる。
  • 退院後も継続的なリハビリが受けられる。
  • 本人の健康管理を医療・介護機関がサポートしてくれる

といったサポートを受けることができます。

 

介護サービスの利用には本人の介護認定が必要で、その介護認定の取得には手続きが必要です。

介護認定には市町村の届け出が必要で、必要書類を提出して、市が本人の状態確認をして、それから1〜2ヶ月程度を要します。

ご本人が入院している期間内で早めに手続きを行うことをお勧めします。

 

介護認定が下りれば

  • 福祉用具を1〜2割引で購入またはレンタルできる
  • 医療・介護サービスを1〜2割負担で利用できる
  • 自宅改修を割引で行ってくれる

等のサービスを受けることができます。

補足事項:運転をしているのなら道路交通法に注意!

もし脳卒中になってしまった患者様が車の運転を利用していたのであれば注意してほしいことがあります。

脳卒中は厳密には道路交通法により、運転免許の取り消しとなる可能性があります。

つまり必要な手続きをとらないまま運転をしてしまうと

無免許運転と同じくらいの重い罰になってしまう危険性があります。

道路交通法103条に基づくと

「一定の症状を呈する病気等」に該当する場合は、免許の停止、取り消しができると規定されています。

「一定の症状を呈する病気」とは…

  • 統合失調症
  • てんかん
  • 再発性の失神
  • 無自覚性の低血糖
  • 躁うつ病
  • 重度の眠気を呈する睡眠障害
  • その他の精神疾患
  • 脳卒中
  • 認知症、高次脳機能障害
  • アルコール等の中毒者
  • 上記以外でも安全な運転に支障を及ぼすおそれのある病気や障害

出典:脳卒中リハビリセンター自動車運転再開支援–桜十字病院より

脳卒中後の運転再開には、具体的には以下の手続きが必要です。

  1. 退院したら免許センターの「安全運転相談窓口」に相談に行く。
  2. 脳神経内科・外科の主治医にも相談。
  3. 自動車運転支援をしている病院にて神経心理学検査を行う。
  4. 検査の内容を通して実車評価の許可が降りる。
  5. 教習所で実車評価を行い、合格をもらう。
  6. 主治医から運転許可の診断書をもらう。
  7. 公安委員会に届け出て、運転再開を申し出る。

脳卒中後の自動車運転には様々なリスクが存在しています。

まずは本当に今後の生活で車の運転が必要かどうかをご本人と話し合ってみてください。

まとめ:家族だけで悩まず、医療機関と介護機関と共同で考える

  • 脳卒中の生活障害を理解する
  • 脳卒中は長期間でのリハビリテーションが可能
  • 介護サービスの利用を検討してみる
  • 運転をしているなら道路交通法に注意!

以上、脳卒中について考えて欲しいことについて解説してきました。

 

今は地域包括ケアシステムが推進しており、住み慣れた地域で自分らしく過ごしていけるような取り組みが進んでいます。

今ではたとえ体に障害が残っていても、住み慣れた地域で自分らしく過ごせるように働きかけています。

 

それは患者様だけでなく、ご家族様だって同じで

ご家族様が一人で本人のサポートを負担してしまわないよう、僕たち医療者や介護サービスが整備されています。

 

なので決してご家族様だけで悩まないでくださいね。

kazu
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